野の花 山の花 4月

ヤマエンゴサク

山延胡索
ケシ科

4月下旬
奥多摩


 沢筋に草丈の低い淡い紫色の花が、淡い緑にとけこむように咲く。花の色調はまさに薄紫で、花芯の色彩も強調することはない。
 この沢では仲間のムラサキケマンやキケマンをたびたび見たが、この花はここだけだった。あるいは見過ごしてしまったのかもしれない。
 町のジロボウエンゴサクから連想するには、遥かに気品のある淡紫色である。 (2007.04)


付記 緯度の高い欧州の花壇や、高山の花は色調が鮮やかである。短い季節の中で子孫を残すためであろう。気候の温和な日本の花の色調は、もっと淡い。街の花壇なども色の濃い園芸品ばかりではなく、本来の日本の花を取り入れてもいい。

エゾエンゴサク
 

ラショウモンカズラ

羅生門葛
シソ科

4月下旬
奥多摩


 タチツボスミレの薄紫色が次々と咲く沢筋に、一際鮮やかな紫が目に映った。ラショウモンカズラだ。ほんの少し前にヤマルリソウを見つけて休んだばかりだが、また休止して風の息を待つ。
 ちょうど咲き出しの頃で、まわりには蕾の株も見られる。ラショウモンカズラの名は京の羅生門の鬼から来ているそうだが、山の芽吹きに囲まれていると想像は難しい。 (2007.04)

Index  3月の6 4月の1 4月の2 4月の3 4月の4 4月の5 4月の6 4月の7 4月の8 4月の9 4月の10 4月の11 4月の12 4月の13 4月の14 4月の15 4月の16 4月の17  4月の19 4月の20 5月の1  索引

 

写真右: 麻生山、白岩沢の滝

 麻生山について : 麻生山(独票794m)は、日の出山から南東に伸びる金毘羅尾根に位置する。青梅方面から見ると大岳山の手前に大きな山容を見せるが、登る人は殆どいないようだ。頂上は北西から南東へ長く伸び、南の頂には露岩がある。上の写真は麻生山の山麓で撮影した。

 その麻生山の山名について考えてみた。アソオという発音は阿蘇、浅間など火の山からの地名があるが。麻生山はもちろん火山ではなく、また富士山の展望も馬頭刈尾根に遮られ、よいとは思えず、浅間社が置かれた跡も頂にはないようだ。
 古い地図を見ると麻生平の名がある。麻生平は、麻生山から日の出山へ向かう平坦な尾根の名称で、現在は植林地だが往時は麻苧が自生していたのかもしれない。また現在の麻生山794mには”峯の山”など単に峰の名が付けられ、麻生平の側の峰という意で、麻生については麻生平の地名が元であろうと推測される。麻生平は植物の麻苧からで、山村の生活に関連した地名のように思える。